パソコンが生まれ世の中に広がる傍らで、パソコンにつながる様々なIT機器が生まれました。小型のカラープリンターは、そのようなIT機器の中で最も成長し、広く世の中に浸透したものの一つではないでしょうか。
パソコンと同様に小型のカラープリンターにも、年々性能が上がって、買い替え需要が続く時期がありました。 キヤノン、エプソン、ヒューレット・パッカード、ブラザーなどが出力の美しさやスピードを競って次々と新商品を出しました。 銀塩写真と同等の出力品質を目指して、各社は開発競争を続けました。
小型のカラープリンターでもっとも成果を上げたのは、インクジェットプリンターでした。年々上がった品質は、やがて写真と同等になり、今や家庭用プリンターの普及率は90%以上といわれています。 しかし、そんなインクジェットプリンターの出荷台数も、2012年を境に減少を続けています(IDC Japan 「2014年 国内インクジェットプリンター/MFP市場動向を発表 」)。
製品の性能がある一定レベルを超えると、性能を求めた買い替え需要が減少して成熟期を迎えます。 インクジェットプリンターの場合には、ここで一つの問題が出てきました。それは、カートリッジ式のインクです。新しいプリンターに買い替えている時期は気になりませんが、一つのプリンターを長く使い出すと、消耗品のコストが目につきます。
エプソンはがインク液を補充できるプリンターを、北米やヨーロッパで売り出しました(日本での発売は未定です)。 それは、プリンターの性能アップ競争に区切りがついたことを示しています。「きれいさはこれくらいで十分。あとは、長くリーズナブルに使いたい」というユーザーの気持ちに正面から向き合った、良い商品だと思います。