【コラム】2017/11/11
AI(人工知能)が育てば人間は不要か
昨年囲碁の世界チャンピオンのイ・セドル氏を破ったGoogleのAI囲碁プログラム「AlphaGo(アルファ・ゴ)」が、今年現れた新型のAlphaGoZeroに、なんとあっさり100連敗したそうです。
AlphaGo Zeroは、AlphaGoの新型のプログラムです。新型が旧型に勝つのは当然のことかもしれません。しかし、AlphaGoZeroは単純なバージョンアッププログラムではないのです。旧型とは異なり、人間の棋譜(囲碁の手順の記録)を一切参考にせず、一から独学で勉強したというのです。
プロの囲碁棋士の強い棋譜をたくさん勉強したうえに、さらに強化学習で強くなった、というのが旧型のAlphaGoでした。それがまさか、人間の棋譜という足掛かりを一切必要とせずにさらに強くなってしまったというのです。これでは、プロ棋士たちが積み上げた素晴らしい棋譜の数々も、いや、人間自体の思考能力そのものが色あせて見えてしまいそうです。
ところが、昨今、囲碁や将棋は以前にもまして人気です。私は以前からよく将棋を見るのですが、プログラム同士の棋譜は、素晴らしい指し手の連続のはずですが、実に淡泊で退屈です。対して人間同士の棋譜は、どの対局を見ても、実に面白く感じるのです。つまり、囲碁の最適解を探すことと、エンターテインメントとしての棋士の対局とは全く別の話という事です。
エクステリア造園の世界に優れたAIが生まれれば、接客も、プランニングも、施工も全自動に近づいていくはずです。しかし、接客にも、プランニングにも、施工にも、人間の味というものは確かにあるでしょう。そうだとすれば、客が人間である限り、すべてがAIに取って代わられることはないと思われます。むしろ、当たり前の仕事はAIがこなして、そこに味付けをする面白い仕事だけが人間に残る。そんな未来が想像されます。