大谷資料館
建材として古くから親しまれている大谷石のふるさと、栃木県宇都宮市大谷町に行ってきました。その採石場跡地は、地下30m、広さ2万平米にも及ぶ巨大な地下空間として一般開放されています。貴重な石のルーツと魅力を探ってみました。


宇都宮駅から大谷町方面へ向かう途中には、外塀だけではなく大谷石でできた蔵がいくつも残っており、石の街の風景が広がります。
加工しやすい石材として古くから建材に使用されてきた大谷石は、温かみのある色と独特な茶色の斑点模様(ミソ)が特徴。洋風、和風、高級感、ナチュラル…等々、シーンに合わせて自在に表情を変える万能さで、エクステリア・外構の分野では今でも重要な素材の一つです。
機械化がされていなかった1960年代頃までは、つるはしで石を削り出し、70キログラムの重さの石を人が背負って運んでいました。


入り口から階段をどんどん下っていきます。この日の坑内の気温は6℃。ダウンジャケットが欲しくなる寒さです。歩いているうちに手が冷たくなってきますので、手袋もあると快適です。長居されたい方は注意が必要です。

高い天上に四角く空いた穴から差し込む地上からの光。自分が今どのくらいの深さに居るのかを確認するための穴だそうです。 お馴染みの大谷石の門柱が並んでいます。
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ライトアップされた空間。映画・ドラマ・ロックバンドのPVなど、多くの映像作品がここで撮影されています。 假屋崎省吾氏の作品とのコラボレーション
石切りに使用されていた鋸

奥に見える四角いグレーの建物が、大谷資料館の入り口です。入館料は大人800円。
ちなみにですが、手前に見える切妻建物はコーヒー・軽食・雑貨等があるカフェ ROCKSIDE MARKET。おしゃれな和モダンの外観で、景観への気配りを感じました。


カフェのテラス席からの風景も圧巻です。崖の上の樹木はどうやって根を張っているのでしょうか。

大谷資料館へのアクセス

【所在地】
〒321-0345
栃木県宇都宮市大谷町909
【料金】
大人:800円
子供:400円(小・中学生)
【公式サイト】
http://www.oya909.co.jp/
◆大谷資料館の入り口すぐそば「大谷景観公園

大谷資料館のある一帯は、大谷の奇岩群として国の天然記念物に指定されています。こちらの場所は大谷資料館の入り口近くにある大谷景観公園です。切り立った崖に立つ木々や迫力のある岩肌はまるで絵画のような風景。


◆和・洋様々な建築に調和する大谷石

・旧宇都宮商工会議所建物正面
宇都宮市にある栃木県中央公園の敷地内にひっそりと佇むこちらの建築物は、旧宇都宮商工会議所の玄関部分。1985年に復元保存されました。古代ギリシャ風の柱や幾何学模様等の細工で飾られた、威厳のある佇まいです。
また同じ宇都宮市内にある「カトリック松が峰教会」は、日本で最大の大谷石建築として残されています。どちらも大谷石を使用して造られた貴重な建築物なので、時間に余裕があれば資料館と合わせて見学してみてください。



・旧山邑家住宅(ヨドコウ迎賓館)
兵庫県芦屋市にある旧山邑家住宅は、帝国ホテルの設計で有名な近代建築の巨匠、フランク・ロイド・ライト氏の設計。エントランス、応接間等大谷石で造形された装飾が、外装・内装にふんだんに使用されています。国の重要文化財に指定され保存されています。 ※現在、保存修理工事のため2018年11月頃まで閉館中です。

公式サイト 旧山邑家住宅(ヨドコウ迎賓館)



・前川國男邸

日本におけるモダニズム建築の第一人者、前川國男氏の自邸。
外塀には大谷石が使用されており、玄関前には透かしを入れた目隠しの塀も。
江戸東京たてもの園(東京都小金井市)に保存されています。