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 3Dプリンターを使ってみたいけど、本体を買えばできるの?色々な種類があるみたいだけど何がいいの?いくらぐらいするの?難しいの?…他にもたくさんのご質問をいただいております。ありがとうございます。今回は、そんな3Dプリンターのスタートアップを記事にさせていただきました。



オーセブンで3Dプリンターを購入した話はこちら



■はじめての3Dプリンター
 私達の世界で3Dプリンターの使用用途を考えたとき、まずは図面の3D化が考えられます。ジオラマの作成です。
それから、実寸印刷して使用することも視野に入れられるかもしれません。他には事務所の小物を作ったり、アイデア次第ではノベルティグッズの制作などにも使えるかもしれません。

 造形の方法は熱溶解積層方式(FDM)というのをオススメします。プラスチックなどを熱で溶かして積んでいく方式です。競争も激しく、本体も材料もより良いものが生まれ、価格も安くなっています。
 造形方式を調べると選択肢に出てくる光造形法は、特殊な薬液に紫外線を当て固化する方法で、出来上がりがきれいなのですが、展示会などで専門の方に聞いてみたところ、紫外線に強いわけではなく、固化させた後に継続して紫外線を当て続けると壊れやすくなってしまうそうです。

 それでは、FDMの3Dプリンターを導入するときに必要なもの、あると便利なものをリストします。

■3Dプリントするのに必要なもの、あると便利なもの

必要なものは3つです。



本体
 まずは本体です。
 本体のチョイスでは「造形できるサイズ」「対応しているフィラメント形式」「最小積層サイズ」「価格」を見てください。
 オーセブンでは苦労も含めてやってみるということでLepton2というものを10万円程度で購入しました。
 幅・奥・高が200mmのものが造形でき、対応フィラメントは書ききれないほど豊富で、0.025mm〜0.3mmで積層できます。
10万円というのは、この性能に対しての価格としてはとても安いです。
うまくいかなかったら自分で調べる、直す、調整する価格です。

polymide
 フィラメントです。
この線を溶かして物体を作ります。ヘッドが複数ある3Dプリンターでは複数色を組み合わせた物体をプリントできます。
ただ、(今のところ)混ぜることはできないので、基本的には色は自由にならず、単色で出力して、塗りたいときは白や透明のフィラメントに彩色するという感じになります。

 フィラメントはプラスチック(PLA)かABS樹脂(ABS)が最もよく使われ、バリエーションも豊富です。さらに木粉や、銅粉などを混ぜ合わせたものなど、多種多様にあります。
 フィラメントの品質は、プリントの成功率や、造形物の材質そのものですから非常に重要です。とても安いものもありますが、使う前からプチプチ折れたり、ヘッドを詰まらせやすいものなどがあり、気を付ける必要があります。
 品質に定評があるPolyMaker社の、オーソドックス材質なPolyPlusというフィラメントは750グラムで5000円弱です。大きなものでも100グラムも行かないので、1本で相当な量のプリントができます。

Simplify3D
 本体とフィラメント以外に、スライサーソフトというソフトウェアが必要です。
このソフトの仕事は、3D物体から、どういう経路で積層していけば良いか、一筆書きの経路を計算して、3Dプリンター用の命令書にしてくれます。他にも、サポート材の計算や、3Dプリンターの制御も行ってくれます。
 フリーソフトもありますが、3Dプリンターの機構を良く知っていて、英語が得意でないと難しいかもしれません。
オーセブンでは、日本語に対応していて、使い方指南書のあるSimplyfy3Dを2万円で購入しました。

 まずは、この3つがあれば、3Dプリンターで遊べます。
さらに、あると便利なものも紹介します。



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 3M 3Dプリンタープラットフォームシート
フィラメントをガラス板にプリントしていくのですが、張り付きすぎると、剥がすのが大変で、逆に手の油などが付いているとプリント中に剥がれてしまうこともあります。
 対策としてカプトンテープを貼るのは大変だったのですが、このシートは1枚・1回で貼れて、何回か使っても劣化しないのでとても便利でした。
 出力サイズに合わせた大きさのものを購入した方がカッターで切る必要がないです。
 210mm × 180mmの3枚入りで2300円、10枚で7050円くらいです。


ラジオペンチ
 ラジオペンチ、先細ニッパー
FDMは下から積んでいくので、いきなり空中にプリントはできません。そういう時はサポート材という後で剥がすプリントがされます。使っているSimplyfy3Dのサポート材は剥がしやすいと所々で見かけるのですが、それでも大変です。
 ペンチで少し切っておいて、ラジオペンチで、つまんで引っ張って除去するのが、取りやすいです。

■3Dプリンターを動かす流れ
 1.3Dデータを用意します。
 2.スライサーソフトに読み込み、印刷開始を押します。

以上です。簡単です。

もう少し細かく言うと、用意する3DデータはSTLファイルという形式のものです。
「3Dプリンター データ」なんてgoogleで検索するといくつもデータダウンロードできるページがヒットしますが、どのサイトでもSTLでダウンロードできるようになっています。

続いて、プリントするためのスライサーソフトに読んで、そのあとの作業はスライサーソフトがやってくれます。


■簡単になった3Dプリンター、まだまだ難しい3Dプリンター
 作業の流れはとても簡単になりました。誰でもチャレンジできます。
でも、実際に何個かプリントすれば、プリント中にズレ落ちて糸がすごいことになってる、フィラメントの押し出しが弱かったのかスカスカなプリントになっちゃった、プリントできたから剥がそうとしたらポッキリ折っちゃった、などなど、簡単に失敗します。


fail1
fail2
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 そこからの調整は、まだまだ難しいと感じます。
 プリント失敗は高価な3Dプリンターでもある程度は発生するとのことなので、買えばテレビで見たような3Dプリントができる、というのはまだ先の話だと感じます。

 ディスプレイで見ていた3Dが、実際にこの世界に物体として誕生するのは感動しますし、それだけで面白いです。
 これからも色々とチャレンジして報告します。