【設計現場から】2019/10/22
浜松で若手造園家の作品展「庭には、」開催。
静岡県浜松市のアクト通りにて、10/19、20の二日間、造園に関するイベントが行われていました。休日でしたので早速様子を見に行ってまいりました。
このイベントは、浜松市主催、静岡新聞社・静岡放送後援の、秋の都市緑化祭「浜松花と緑の祭2019」の中の一つとして、浜松市のシンボル アクトタワー北側のアクト通りにて開催。地元浜松を中心とした若手の作庭家、ガーデナー達23社が、個性的なモデルガーデンをお披露目する「庭には、」と名付けられたイベントです。 実は昨年も、浜松の駅ビルメイワン屋上にて、「天空の坪庭」というイベントが開催され、今回も主催は同じ「root root root」、出展メンバーも被っている様子。ともあれ、これは観に行かなければ、ということで最終日の10/20に行ってまいりました。 では、いくつかの作品をご紹介いたしましょう。 |
板塀を背景に、アンティークレンガとコッツランドストーンを無造作に配置することで、一瞬にして生活感溢れる庭の一角を演出。廃材の木製窓もアクセントとして面白い使い方がしてあります。 |
同じ廃材をテーマにしながら、わずかな雑草を除き、植栽をあえて配置せず、無機的な表現に徹することで、アーティスティックな独自空間を形成。非常にユニークな作品です。 |
ロックガーデン、最近ではカリフォルニアドライガーデンの方が通りが良いでしょうか。ユッカやアガペなどを中心に配置した洋風庭園は、オシャレで手間が掛からないとして最近人気があります。足下を締める山石は、このあたり特産の三ヶ日石でしょうか? |
版築を土台に使っているなんとも贅沢なベンチ。しっかりした技術があってこその様々なチャレンジ。 | ベンチの座面に竹を利用。コケと水鉢のイメージと相まって、モダンな和の演出です。 | ナチュラルテイストのエディブルガーデン、キッチンガーデンには欠かせないコンポスト。ベンチにすることで普段は目立たなく。 |
巨大なアイアン製オブジェは、地元のアイアン作家のもの。個人の住宅では少し目立ちすぎるかも知れませんが、店舗などでは効果的でしょう。左側にあるアイアンのお花などは、個人のお宅でも十分なアクセントになりそうです。 こちらの作家さんは、浜名湖ガーデンパークなど各種イベントで様々な作品を発表されています。 *アイアンクラフトファクトリー じんぱち |
こちらも目を惹いた巨大なオブジェ。 おそらく公園や幼稚園からの払い下げと思われる遊具を利用して、ユッカやアガペなどを植栽。しかしよくよく見ると、下半分は水槽になっていて魚が泳いでいます!アクリル樹脂などをカットして遊具に沿わせて貼り込み、コーキングしたものと思われます。ドライガーデンによく使われる樹種を置きながら全然ドライじゃない、なんとも不思議はオブジェに仕上がっています。 |
「庭というものは自由な発想でいいんだ」、そんな理念から生まれたのでしょうか、笹を組んでパイプライン、ビッグウェーブに!そしてそこにはサーフボード! いやはやなんとも楽しいガーデン、デザイナーさんの趣味でしょうか、遠州灘に近いところで営業されているようですし。 |
今回の作品の中では、意外にも少なかった雑木をメインにした庭。縦長の、どちらかというとモデルガーデンを制作するには不向きな空間をうまくレイアウトして、奥行を出すことに成功しています。テーブルウェアや、ハロウィンの小物の使い方も上手いですね。季節感溢れる素敵な小庭に仕上がっています。 |
廃車を持ち込んで非常に手の込んだ小庭を造作したのは、なんと京都からの参加者、亀山造園さんです。おそらく一番遠方から見えたのではないでしょうか。 野草にあふれかえった空き地に置き去りにされたローバーミニ、いつしかボンネットから草が生え、ルーフにコケも着く、そんなイメージですが、ボンネット内は溶岩で組んだ流れがあり、ルーフの苔庭はちゃんと盆石まで配置してあります。ここはやはり庭師の矜持でしょうか。 |
また、この浜松で開催されるイベント、このエリアでの活性化に繋がりますし、形は変わっても是非続けていってもらいたいと思いました。その時はまた個性あふれる素晴らしい作品をご紹介したいと思います。