ジャパンガーデニングフェアで行われていましたセミナーで参考になりそうな内容のレポートをお届けします。





◆ガーデン設計プロの現場から◆

●ガーデンデザイナーに求められている事
1)四季を通した植栽の知識(soft)
2)それを存分に生かす外構の知識(hard)
3)収まりである全体レイアウトのテクニック(soft)
4)組み合わせ、植栽レイアウトのテクニック(soft)
●hard的知識
排水・土壌の安定・外構そのものの知識、安全に収まっているか・太陽(日照)、風通しなど環境の条件・予算
●soft的知識(良くある個人邸の場合)
お客様がガーデニングできるスペースを残しながら、ローコスト(メンテナンスの少ない)計画の一例3000×2500ぐらいのスペース
1)シンボルツリー どんな木、樹形を、どんな空間で、どういう見せ方を選ぶかによって庭の印象が変化。
2)シュラブ=潅木(例・ラベンダーなど、はじめ草のようで後に木になる。一度植えれば毎年育つ、小さな庭にも合う。1・2はガーデン部分
3)ペレニアル=多年草・宿根草 これも一度植えれば毎年同じところに顔を出す草花。逆に言うと顔を出していない時期がそれぞれあるので、どこに何を植えるのか計画しておけば、いつのシーズンも必ず何かが咲いていたり見ごろだったりする庭が造れる。もっというと、同じ時期に顔を出すものの色や形、高さなどを計画しておけばデザイン的にも優れた庭になる。所謂花壇部分。1・2・3はローメンテナンスエリア
5)アニアル=一年草 一年のみなので毎年変えられる、シーズナルエリア。その年のテーマカラーなど設けられる。家主が所謂ガーデニングする部分。以上を踏まえていれば小さくても変化に富んだ、なおかつローコストの庭を提案できる。
●高齢者の癒しの空間として・社会参画のヒントとしての庭の役割
・インターロッキングガーデンの本当のあり方…インターロッキングを敷く事で凸凹のない、バリアフリーの庭園を造る事によって、高齢者の方々も外に積極的に出る様になり、そこでコミュニケーションが生まれる。社会参画に貢献できる庭の役割がここにある。
・同様に、ガーデニングを趣味に持つ事でハリが生まれ、知識や知恵の交換やオープン・ガーデンなどの、さらなるコミュニケーションが生まれる。
●2007年問題
・団塊世代の一斉退職による、ガーデンデザイン設計への需要の高まりが予想できる。お父さんの第二の部屋として、平均400〜600万ぐらいの予算と考えられている。
●他、温暖化・2℃問題への配慮
・ベランダ、ルーフガーデンへの需要etc…
以上のこれまで挙げてきた、重要な潜在ニーズを、プロとして当然に盛り込んでゆける高い対応力、知識や経験が、お客様の生き方や人生設計ばかりでなく、広く社会的役割も担っており、さらに役立てられ、よりよく活用される為の努力が求められている。

◆新しいビジネスチャンスのペットガーデン◆

昨今のハウスメーカーの住宅設計コンセプトにも見られるように、21世紀は「庭」を含んだ暮らしのスペースが見直される時代となります。その流れの中でエクステリア・造園業界が今見直すべき点の一つは「庭」と「ペット」との調和です。ペット市場は1990年のバブル崩壊後も全国各地で順調に伸び続け、現在では一兆五千億円の市場となっています。また、医療界では動物療法なども行われ、動物は現代人にとってかけがえのない存在になっています。しかし、それだけの需要がありながら、残念ながら日本では未だ「ペット」と「庭」を結びつけて考えることが一般的でありません。そして、ガーデンデザイナーがペットガーデンを造るノウハウを持ち合わせていないのが現状です。以下では従来のガーデンデザインの問題点と今後の注意点を大まかに紹介します。
●従来の「庭」のペットガーデンとしての問題点
1)害虫駆除の薬 ・肥料 ・ウッドデッキの隙間
2)熱くなりすぎる床(犬などの肉球はすごく敏感!人間の足の裏とはまったく別物)
3)ペットにとって害のある植物が非常に使われている(今後設計者責任になりかねない)
4)植物が荒らされるからペットを庭に出さない(外遊びが減り知能形成の妨げに)etc・・・
●ペットガーデンを造るにあたっての注意点(主に犬の場合)上記の問題点に留意すること
1)ペットの高齢化に伴った造り替えを念頭に入れること(バリアフリー)
2)犬種に合わせたデザインにすること(運動量の違いなどを考慮する)
3)犬の躾がある程度されていること(室内室外を明確に理解させるなど)
4)安心して運動、休息が出来る空間にすること(無用な警戒心を解くための目隠しを施すなど)etc・・・
上記のような問題点や注意点を踏まえてガーデンデザインをすることは、ペットにとってだけでなく子供や高齢者にも適した空間となります。ペットも「うちの子」のこの時代、「人」と「ペット」が共に快適に過ごせる庭空間を提案できることは新しく、大きなビジネスチャンスになります。(講演者:上野博昭氏 元マイガーデン編集長 ガーデニングブーム火付け役)