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国際ガーデンEXPO2014:フラワー・ツール・農業編
国際ガーデンEXPO2014B01
さる10月14日から16日の3日間、幕張メッセで行われた、リード・エグジビション・ジャパン主催のイベント、国際ガーデンEXPO。前回はエクステリアゾーンを中心にご紹介いたしました。
国際ガーデンEXPO2014:ガーデン・エクステリア編
今回は同時開催となった、残りの会場をチェックしていきたいと思います。


同時開催となっているのは、国際フラワーEXPO国際道工具・作業用品EXPO国際農業資材EXPO国際次世代農業EXPOの4つ。それぞれ互いになんらかの関わりがあるジャンルですね。大きく見れば、緑化技術というくくりができるかもしれません。

それでは、隣接していた国際フラワーEXPOから見ていきましょう(一部国際ガーデンEXPOも混じっています)。


今回が第1回となる、プリザーブド&アーティフィシャルフラワーコンテスト。大きくスペースをとり、参加作品が並べられていました。
今回が第1回となる、プリザーブド&アーティフィシャルフラワーコンテスト。大きくスペースをとり、参加作品が並べられていました。
こちらが入賞作品。なお、プリザービドフラワーは、生花を薬品処理し乾燥させたもの、アーティフィシャルフラワーはいわゆる造花です。
こちらが最優秀賞受賞作品。上野 礼奈さんの「Happy Life!」。グラデーションがきれいです。 / /
ギフトアレンジ部門「収穫祭・マダム・ボワゼルに捧ぐ」。長尾清乃さんの作品。フランスの有名なシャンパンメーカー当主への贈り物という設定で。こちら全てアーティフィシャルフラワー。
インテリアフラワー部門 「水彩」。一見してアクアリウムのような芳賀裕晃さんの作品。
ジャパンフラワーセレクション実行協議会が毎年開催している、一年で最高の花を決める日本フラワー・オブ・ザ・イヤーの歴代受賞作。こちらはもちろん生花。
ジャパンフラワーセレクション実行協議会が毎年開催している、一年で最高の花を決める日本フラワー・オブ・ザ・イヤーの歴代受賞作。こちらはもちろん生花。
フラワーEXPOのブースは、多くの場合間仕切りがなく、商談スペースとなっていました。
日本苔技術協会を運営する、苔神工房のブース。様々な苔を増やして販売しています。
「苔の苗 ドライシート」という商品。ハイゴケを長期保存やローメンテナンスが可能なシート状にして量産、流通販売を容易にしています。
こちらはスナゴケマット。明邦技研のブース。耐候性が高く、無機基盤になじむスナゴケは屋上緑化によく採用されるようにもなってきました。
薔薇園植物場のエキゾチックプランツメイン展示ブース。海外のナーセリーと契約し、ユッカやグラスツリーなど、希少植物を輸入しています。
薔薇園植物場のエキゾチックプランツメイン展示ブース。海外のナーセリーと契約し、ユッカやグラスツリーなど、希少植物を輸入しています。
シンワ株式会社のブース。菊花用選別機、花結束処理機など、生花生産者の省力化機材も展示されていました。リボンや包装のためも機械もありました。
ガーデニングや家庭菜園で悩まされるモグラ。その撃退ツール、その名も「モグラよグッバイ!」。ピンを同間隔で差し込んでいくだけで寄せ付けないというもの。主成分は唐辛子。芝庭向きですね。
こちらは花壇や菜園の周囲にどうでしょう。「モグ柵」のスチール製のピンで物理的にモグラをシャットアウト。国分グリーンファームの取り扱いです。
ガーデニングファッションウェアも充実。写真はLEEのブース。作業用エプロンやワークパンツなどでちょっとしたブティック風に。
フラワーEXPOではホビー性の高いアイテムも多数展示されていました。ここもおしゃれな雑貨屋風。欧米ではすでにガーデニングの1ジャンルとなっている、ミニチュアガーデン(フェアリーガーデン)のアイテムを扱う、高松商事ブース。
フラワーEXPOではホビー性の高いアイテムも多数展示されていました。ここもおしゃれな雑貨屋風。欧米ではすでにガーデニングの1ジャンルとなっている、ミニチュアガーデン(フェアリーガーデン)のアイテムを扱う、高松商事ブース。
フェアリーガーデンとはいわゆる箱庭です。庭の一角や木箱などのほか、テラリウムケージなどに設置します。個人的に今後伸びていくと思われるジャンル。造形モルタルによるミニチュアハウスも密かなブームとなっていますが、それらと組み合わせてもよいかも。
ミニチュア系でもこちらはフィギュアなどを配置した、漫盆栽的なもの。葉の細かなカラーリーフや多肉植物が多用されます。
こちらも異彩を放っていました。園芸とアクアリウムの融合ということで、水槽の中でガーデニング。佐野観賞魚ブースです。
参考出展されていたラフレシア。実は本物ではありません。FRP製だそうです。アクアリウム、アクアテラリウムには、ビオトープや水景などに応用できるアイテムや技術、アイデアがかなりあります。
続いては、反対側の道工具・作業用品EXPO側へ。あらゆる工具がいっぱいで、職人さんはじめ、DIY好きな男性諸氏には目の保養。
続いては、反対側の道工具・作業用品EXPO側へ。あらゆる工具がいっぱいで、職人さんはじめ、DIY好きな男性諸氏には目の保養。
金物で有名な、新潟の三条市からきた、三条商工会議所のブースにて、外山刃物の剪定用鋏「秀久」。プロ仕様の逸品。
神沢精工の剪定のこぎり「SAMURAI」。試し切りの実演もやってました。工具関係はやはり実演やお試しができるブースが多かったです。SAMURAIは、曲刃が特長。生木の剪定から集積材のカットまで対応するとのこと。
エクステリア業界では、人工木ネオカットで知られる高儀も、園芸用品メーカーとして出展していました。大工道具や園芸用具から、電動工具まで幅広いラインナップ。
家庭用のガーデンシュレッダー「SGS-1500」。チップ化された雑草や刈枝は、堆肥やマルチング材として再利用。お庭のあるお宅には一台お勧めしたいですね。
こちらの実演コーナーにもたくさんの人が集まっていました。研削研磨のイチグチによる草刈鎌の研磨デモンストレーション。
こちらの実演コーナーにもたくさんの人が集まっていました。研削研磨のイチグチによる草刈鎌の研磨デモンストレーション。
アピールしたいのはこちら、ディスクグラインダー用サンダー。来場した職人さんたちも、身近な商品に目が行くようです。
山真製鋸の出展は、レーザー墨出し器。従来より明るく見やすいグリーンのレーザーを使用。薄曇りなど限定された条件なら屋外でも利用可能とのこと。可視性が高いとなると受光側も感度高そうですね。
これまた無骨な工具が並ぶ中で、ひときわダンディな世界を作り出していたのが、神沢鉄工のブース。鹿の角を柄にしたシャベルや移植鏝などはまさに工芸品。もちろん、工具の老舗としても有名なので実用的なツールとしても素晴らしいんでございましょうが、しかしかっこよすぎ。部屋に飾っておきたい男の逸品。
こちらも面白かったです、基陽の「じゃばら駕王安全帯」。高所作業などに使う安全帯ですが、墜落防止のロープ部分がジャバラになっていて普段はコンパクトに。フック部分も併せて従来品より改良されています。
チェーンソーなど林業関係機材を取り扱うハリマ興産ブースは、台湾メーカーと共同で出展。
チェーンソーなど林業関係機材を取り扱うハリマ興産ブースは、台湾メーカーと共同で出展。
チェーンソーカービングで作られたカエルさん。可愛らしい表情がたまりません。隣にあるのは、大型のマフラーがついたなんとも変わったチェーンソーですが…、なんとこれチェーンソーメーカー各社の製品に取り付け可能なチェーンソー専用チャンバー(っていうんですね)とのこと。
そして、不勉強で申し訳なかったのですが、チェーンソーカービング専用チェーンソーなるものも世の中にあるのですね。なるほど、確かに繊細なカービングの仕上げには、先細りのバーが必要そうです。村おこしイベントやホビーとしてのチェーンソーアートも年々盛り上がってきていますから、有望なジャンルといえましょう。
農業資材、次世代農業関連は、牧畜の生産設備だったり、ソーラー、LEDを使用した植物工場関連の出展が多かったです。ただし撮影禁止のブースも多かったので割愛いたします。農業EXPOで他に気になったのは、こちらですかね。写真は北原電牧。
こちらはファームエイジの電気柵。そう、鹿や猪など野生動物からの防護柵です。イノシシから鹿、熊といった大型哺乳類から、アライグマ、サルなど中型哺乳類まで、多くの種類に対応した防護アイテムが出展されていました。
もちろん、獣害防止の電気柵は昔からあるものですが、近年は里山のあり方も変わってきていて、緩衝帯となる二次林が手付かずとなることで人と獣の住まう世界の境界がより近づき被害が増えているという状況があります。加えて狩猟者の減少や山林の拡大による個体数の増加など要因もあるとは思いますが。また、山地に迫って開発された住宅地の増加に伴い、住宅地そのものも獣害に晒される事が増えているようです。もしかするとエクステリアの世界でも獣害対応がそのうち必要になってくるかもしれません。

今後は、防護柵や捕獲罠の設置などハード面での対応と供に、鬱蒼となりつつある二次林や竹林の活用など、よりソフトな対応として緩衝帯を設ける事業などがより必要とされていくのでしょう。人と自然の関わり方も、緑化や管理を通して、この先社会とともに新しい形に変化していくものと思います。

実は、私、今回7〜8年ぶりに本展示会に参加したのですが、以前には無かったジャンルの展示にかなり刺激を受けました。もちろん、エクステリア、ガーデンのよく知った世界でも発見はありましたが、クロスオーバーするジャンルからの情報は、なかなかに実りあるものでした。お時間が許すのであれば、来年のご参加を是非ともお勧めいたします。
国際農業EXPO2014 電気柵に迫るウリ坊