2021年 年頭所感
IT(情報技術)という言葉が生まれて以来、2020年ほどITツールの実践に「選択圧」がかかった年はなかったと思います。選択圧とは生物の進化に関係する用語で、環境の大きな変化によって種のバリエーションのうち環境に適応しない性質のものが淘汰される働きを表現しています。老舗の弁当屋さんが廃業したり巨大な被服ブランドが倒産するなどの深刻な問題が起こる一方で、UbarEats(ウーバーイーツ)やZOZOTOWN(ゾゾタウン)は業績を伸ばしています。販売するものは同じでもITをどれだけ使いこなせたかによって、コロナ禍への耐性が大きく違ったとはっきりわかります。
ITとは情報を働かせる技術のことです。人と人が実際には会わずに商品のやり取りができれば、コロナウィルスの感染リスクは劇的に下がります。消費者の手元のスマートフォンに、商品が映っているかどうか。そして、手の中で商品を購入できるかどうか。この部分をしっかりと準備できた企業が、まずは「選択」されたと云えます。UbarEatsやZOZOTOWNには自社の商品は基本的にありません。消費者と売り手をつなぐ、商品を配達するというサービスを提供できたことが、コロナ禍にあって、ぴったりストライクのビジネスだったというわけです。
どのようなビジネスにも、IT化できる部分とできない部分があります。お弁当屋さんなら、弁当の情報だけ渡すというわけにはいきません。現物の弁当を、購入した人に渡す必要があります。エクステリア工事の場合なら、現実に施工しないといけません。しかし、逆に言えば、施工以外の部分はすべてIT化できるのです。広告チラシや看板はホームページで、営業打ち合わせはテレビ会議でという具合にです。07CADで在宅勤務もできます。人の移動を減らして、情報だけを走らせる。これがIT化の本質かもしれません。コロナ禍でも仕事を動かすことができた企業は、それぞれITを使いこなしていると評価することができます。
オーセブンの商品で云えば、ホームページ「ガルテン・ブログ」で会社の情報を発信して、引き合いを受け付け、テレワークに対応した07CADやカタリノでプレゼン資料を作成して、e-Put(イープット)を使ってクラウド上でお見積書を作ることができます。すべての情報はe-Board(イーボード)上で社内共有されて、もはや事務所で情報共有する必要はほとんどないと云えます。実際オーセブンでもe-Boardを利用して社内情報を共有していますから、社員同士の情報共有をするために出社する必要はまったくなくなっています。会議についてもすべてテレビ会議で、昨年開催された全社会議もすべてオンラインで行われました。
社外の方との情報共有の場も会議室からオンラインに切り替わりました。ZoomやWebex、Google Hangoutsなどのテレビ会議システムを使って、07CADの勉強会やセミナー、各種業界団体の打ち合わせ、お客様との打ち合わせも盛んに行われました。そんな中、新規のお客様との打ち合わせにも、テレビ会議システムを導入する動きがあります。実際に顔を会わせた営業活動を基本としてきた業界にも、コロナによって新しい風が吹き込まれています。その結果得られたのは、単なるコロナ感染のリスク回避だけではなく、交通費の削減や拘束時間の減少などのコスト削減効果、そしてなにより、営業を受ける顧客側にとっても部屋の片づけや準備なしに受けられるオンライン営業は、満足度が高いのです。コロナは人の命にも係わる大きな問題ですが、初めての相手とオンラインで会話するという新しい文化を、社会全体が獲得しつつあるプラスの効果があったと云えるのです。
今年オーセブンは新しい07CAD(バージョン3)を発売する予定です。新しいバージョンでは、オンライン営業をスムーズにする「プレゼンKIT(キット)」が搭載されます。オンラインの営業・打ち合わせは、企業にとっても顧客にとっても時間とコストを削減した満足度の高い体験になります。07CAD3で、最先端のエクステリア造園ビジネスを実現していただければ幸いです。
昨年、オーセブンで開発したSpeedPlanner(スピードプランナー)がグッドデザイン賞2020を受賞いたしました。オーセブンで開発したソフトウェアのデザインと先進性が評価されての受賞になり、社員一同喜んでおります。オーセブンのソフトウェアはすべて自社で開発しております。グッドデザイン賞に値する企業として、お客様のビジネスを時代の波に乗せるため、今年も頑張ってゆきたいと思います。
本年もよろしくお願い申し上げます。
代表取締役 七海 崇