愛知県立猿投農林高等学校・環境デザイン科は、豊田市の北部に位置する農業専門高校だ。入学生のほとんどが近隣の中学校からの進学で、地域に根差した農業教育を展開している。環境デザイン科は、「建設システム」と「造園デザイン」の2コース制を導入しており、2年次より専門的な知識・技術を習得することができる。1年生では製図の基礎を学習し、トレース技能検定3級に全員挑戦。また、造園で取り扱う樹木を学習し、樹種の違いによる特性を学び、樹種を同定する力を身に付けている。2年次の造園デザインコース生は、手書きによる庭園図面の書き方、植物の生産及び管理技術、ロープワークやホイスト操作なども学習している。3年次には、立面図や透視図の作図に加え、CADによる庭園設計が始まり、設計した図面を地域のイベントである「とよたガーデニングフェスタ」や、JAあいち豊田本店のエントランスホールを借りて実際に作庭することで、設計から施工までの一連の流れを体験しながら学習している。
学校では、平成17年度に「バージョン7ケンブリッジ」を21台導入。CADを導入後は、全国造園デザインコンクールや愛知県造園デザインコンクールなど多くのコンクールに生徒は挑戦できるようになったという。庭園設計に当たっては、手書きによる平面図を作成することを基本とし、それを基に作品を作成。環境デザイン科の伊富先生はこのように話す。「平面図のデザインを作成するためには、空間を立体的に想像する力が必要です。そのため、CADによる空間トレーニングで構想力を養っています。また、アイディアは持っていても手書きが苦手な生徒も多い中、CADはとても有り難い存在で、イメージを想像通りに作成することができます。」CADが学校でも活躍していることが喜ばしい限りだ。
近年では、様々なコンペに挑戦する生徒も多く、CADを巧みに取り扱うことのできる生徒が増え、CADによる造園教育が安定してきているという。今後は、造園のプロを目指し、技能五輪や技能検定にも手を広げて挑戦させていきたいとのこと。そして、多くの生徒に「造園を学んで良かった」、「CADの設計が楽しかった」と感じてもらえるように造園の魅力を伝え続け、何事にも自信をもって社会で活躍できる人材を育成していきたいという。