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整理整頓は日本人の美徳のひとつです。机の上はきれいに、引き出し中も整理して、本棚はあいうえお順に・・・。 しかし、インターネットとビッグデータの時代ではこの方法論は役に立たなくなりました。

米Yahoo!社は、年内でディレクトリサービスを終了すると発表しました。 ディレクトリサービスとはホームページ版の電話帳のようなものです。 十数年前には、ホームページをつくったら検索エンジンにカテゴリ登録するのが常識でした。その為の分類棚の一つが、このディレクトリサービスです。


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▲Yahoo! Directoryサービスの画面 https://dir.yahoo.com/

しかし、このディレクトリサービスは現代のインターネットから情報を引き出すツールとしては、力不足になったようです。 Yahoo!ディレクトリの日本版、Yahoo!カテゴリを使ってみると、そのことがよくわかります。造園工事をする会社を探そうと思ったとしても、まず最初のカテゴリを選ぶのにかなり迷います。 それでも何とかたどっていきますと、結果は以下の通りになりました。


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「生活と文化」 (14個の選択肢から)
    ↓
  「住まい」  (40個の選択肢から)
    ↓
「ガーデニング」(24個の選択肢から)
    ↓
 「日本庭園」  (21個の選択肢から)
    ↓
10件のホームページがヒット
4回の選択(クリック)の結果、10個のホームページが表示されました。 しかし残念ながらその中には造園会社さんのホームページはありませんでした。 他にもいろいろ調べてみますと、実際には、「ビジネスと経済」>「企業間取引」>「住まい」>「庭、ガーデニング」 というカテゴリの中に10件ほどの造園会社さんのホームページがあることが分かりました。

数分の試行錯誤で結果的に出てはきましたが、造園会社を探すのに「ビジネスと経済」をまず選ぶのは、少なくとも私の直観とは違っていました。 分類した方からすれば、造園会社という「企業のホームページ」なのだから、「ビジネスと経済」から探せという理屈なのでしょう。しかし、それは誰にでも当てはまるわけではありません。造園会社のホームページを「企業のホームページ」と考える人もいますが、「私の庭をきれいにするためのホームページ」と捉える人もいます。 見る人によってホームページのカテゴリー分けは変わってしまうのです。

ホームページのこのような性質に対応するため、インターネットの検索エンジンは、キーワード検索という方法を発展させることになりました。Google,Yahoo!,Bingなど、インターネットの検索エンジンは、全てのホームページの奥深くまで調査してインデックスする(検索できる状態にする)ようになり、特定のキーワードを入れれば、複数のホームページの中からそのキーワードに関する部分だけを「つまみ読み」することができるようになったのです。

キーワードで探しているのはホームページそのものではなく、その中にあるほんの一部の情報です。「○○造園のホームページ」を探してから「その中身」を読むという順番ではなく、○○造園のホームページの中の一説を直接読みに来ているのです。その記事がどの(会社の)ホームページにあるのかは、後から意識されることです。

インターネットの世界では、○○会社のホームページという箱はなく、その中にある情報だけが一つの大きなプールの中にごちゃ混ぜに入っています。それが、いわゆるビッグデータです。きらびやかなトップページでホームページを飾る時代はとうの昔に終わっていて、ビッグデータのプールの中からいかに自分の「記事」を探し出してもらうかを考える時代になっているということです。