いよいよこれから桜の季節です。その前に、秋から早春に咲く様々な桜のご紹介をしたいと思います。
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啓蟄も過ぎ、雨のたびに暖かくなってきています。いよいよ春なんですね。
さて、春と言えば桜。日本の春の景色には、切っても切り離せない、もっとも親しまれている植物ですね。庭木としては、手間が掛かったり、生長が早いとあまり人気がありませんが、公園、土手の並木や神社仏閣、公共施設など人の多くあつまる場所によく植えられています。
ところで、庭木を普段あつかっている皆さんもよくご存じのように、桜と言っても、ソメイヨシノのように3月後半から4月にかけて咲く品種だけではありません。ものの本によれば、日本では真夏の8月以外は、全国どこかしらで咲いているとも言われています。
今回は、そのうち、秋から真冬、早春にかけて咲く桜をご紹介しましょう。
秋から春にかけて咲く桜
いわゆる四季桜、冬桜とよばれているものです。秋から咲き始め、暖かい地方では冬を通して春先まで咲き続けます。あるいは秋と春の二回咲くことから二季性の桜とも言われます。
四季桜
マメザクラとエドヒガンの種間雑種。写真は豊田市小原の四季桜公園で見かけたもの。撮影は2月です。 |
浜松市 大福寺の半歳桜とよばれる桜。秋から春にかけ、半年もの長い間咲くことからそう名付けられたようです。萼筒を見ると、エドヒガンの特長であるくぼみがあって、かつ一重なので、シキザクラの仲間と判断しています。1月に撮影しています。 |
十月桜
あまり良い写真が用意できなくてすみません。新宿御苑などにも植えられ、二季性の桜のうちではもっとも有名なものです。マメザクラとエドヒガンの雑種で、八重です。萼筒は短い壷型です。1月撮影。 |
子福桜
白色のちいさな八重咲き桜。春から秋にかけて咲きます。カラミザクラとコヒガンが親と言われています。一つの花に雌しべが複数付き、それが実となることで子宝に見立てたのが名前の由来となっています。写真は豊橋市二川伏見稲荷のもの。1月撮影。 |
冬桜
マメザクラとオオシマザクラの種間雑種。白色で一重で、萼筒は短い筒型です。写真は新城市世界の桜の園という私設植物園にて1月撮影。 |
早春に咲く桜
節分前後から咲き始める桜、一般に寒桜とよばれる品種です。多くは、寒緋桜と他の桜の種間雑種やその栽培品種です。
寒緋桜
中国南部や、台湾、ベトナムに自生する南方原産の桜です。国内では石垣島に自生地があるそうです。沖縄では染井吉野の代わりに、開花宣言にも利用されています。 南国生まれらしく、紅く艶やかな色と下向きの花付きが特徴的です。写真は2月後半、豊橋市にて撮影。 |
河津桜
最近ニュースで取り上げられることも増えて、寒桜の中ではもっとも知られているのではないでしょうか。またピンクで大柄な花が好まれ、各地で並木に採用されているようです。 カンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種とされています。 写真は浜松市都田の桜並木。2月撮影です。 |
熱海桜
正確には、熱海桜ではなく、その変種となります。島田市の帯桜とよばれるものです。カンヒザクラとヤマザクラの種間雑種と思われます。例年3月3日辺りに満開になるとのこと。2月後半に撮影してきました。 |
修善寺寒桜
カンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種と思われます。カワヅザクラとよく似ていますが、萼片の形状で区別できるようです。撮影は3月、磐田市にて。 |
大寒桜
カンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種です。別名、安行寒桜とも。寒桜より少し遅れて開花。寒桜との違いは、萼筒の長さで判断しています。写真は豊橋市内のもの。そろそろ見頃になってきている時分です。 |
椿寒桜
カンヒザクラとカラミザクラ(シナミザクラ)との種間雑種。名前の由来は、植物の椿ではなく、原木のある愛媛県松山の神社に由来するとのこと。大型の花弁でピンク色なので、見慣れるとわりと簡単に区別が付きそうです。写真は3月撮影。磐田市の保福寺というお寺です。 |
さて、桜特集、いかがだったでしょうか。こうしてみていくと、寒いうちから色んな種類の桜が咲いているものですね。これから先は、ますます見応えのある桜が観られるでしょう。次回は、染井吉野を中心とした、春のまっただ中に咲く桜を特集したいと思います。
なお、品種の同定については、書籍を参考にしているものの筆者個人の判断であり、誤っている可能性もあります。もし間違いにお気づきでしたら、ご指摘、ご教授お願いいたします。
*参考文献:サクラハンドブック(大原隆明著 文一総合出版)、日本の桜(勝木俊雄著 学習研究社)、桜(勝木俊雄著 岩波新書)