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2013年11月。千葉県香取の里山で始まった、新しい住まいかた提案の実験場【千葉ラボ:古民家再生 "New garden life" 】。その密着取材レポートです。【ものづくり】【庭づくり】【野菜づくり】の、なにこれ!をつぶやきます。
◆今月の特集:【母屋:リビングルームのリフォーム その1】



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千葉ラボ:全景(正面) 撮影時期 2015年9月↑
裏山を背景にして手前に拡がる香取の里/千葉ラボから、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年もよろしくお願い申し上げます。     オーセブン株式会社 代表取締役 七海 崇 



・・・ 1月 「里山」に思う ・・・

 香取の里・・・その懐は予想以上に大きかった。私にとっては挑戦の場であり、少年のごとく向き合う大地ですと、ここでの7年間を振り返る亭主。ものづくり・庭づくり・野菜づくりの5万点を超える記録を撮り続け、2019年8月より、千葉ラボならではの切り口で「古民家再生New garden life」を発信しています。今号5シリーズ目は、里山からご挨拶です。

母屋:茅葺の屋根裏
 ・・・こんなことがありました。「初めて母屋(リビングルーム)の屋根裏に入ろうとして、天井板を持ち上げた瞬間です。いつもと違う空気に囲まれ、『何だろう』とライトで屋根裏を見渡しました。すると、光りが届かない奥のほうに(私が勝手に思うだけですが)、私を見据えるこの家の主(あるじ)が居たのです。ぎょ!っとしました。私は、100年昔の先人の思いに触れたような気がして、頭を下げ、丸太の梁が並ぶ向こう側に無言の挨拶をしました。」 ・・・亭主が里山に移り住んで3回目の冬(2016年1月)の出来事でした。









母屋:撮影20160508 →
茅葺の屋根裏:撮影20160226↓
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天井板:はずしたところ
撮影20160226
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天井裏①
撮影20160226
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天井裏②
撮影20160226
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天井裏③
撮影20160730
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音響スピーカー工事
撮影20160730
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天井裏に先人の道具

裏山の‘はやとうり’
 千葉ラボの裏山。亭主は、「ここの『はやとうり』は、夏はひっそり鳴りを潜め、秋に入って生存競争の相手がへたる頃、ガンガン生長する。5mを越える勢いでツルを伸ばし、一株100個前後の実をつける神がかった奴です。・・・ぬか漬けがうまいんですよ。」


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「はやとうり」  誘引範囲を越える元気さ! 撮影2016年10月11日 ↑
 味は無し、歯ざわり良しの「はやとうり」は、私(取材記者)も御すそ分けにあやかったひとり。寒くなった頃に食卓をにぎわす里山ならではの食材です。鍋一杯、きんぴらごぼうのように炒めていただきました。↓


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「はやとうり」伸び始め
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「はやとうり」一株の生長力
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収穫:撮影2018年11月21日
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はやとうり
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はやとうりの種
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一人前↑×20人前完成


・・・ 特集 母屋リビング・リフォーム その1 ・・・

 今回、ご紹介する特集は、千葉ラボの母屋(築110年の古民家)のリフォームです。【二間続きの和室(大広間)と廊下】をリビングルームに改装してリスニングルームを作りました。









母屋:リビング工事 撮影20160718 →
母屋:リビングルーム 撮影20190226↓
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1)母屋リビングルーム:和室/下り壁の撤去 (画像クリック:拡大します)
 和室の土塗り壁は埃っぽく隙間があり、温熱環境を作るのには適しません。広い空間のリビングにするために、和室まわりの天井から鴨居までの下がり壁(真壁塗り)を取り除きました。


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①和室下がり壁:解体前
撮影20160524
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②土塗壁・長押:撤去
撮影20160525
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③鴨居も撤去
撮影20160526

2)母屋リビングルーム:柱梁の新・接合位置
 (画像クリック:拡大します)
 そして、和室・下り壁を撤去した後の柱と梁の旧・接合部は、柱側に欠損箇所があり、その補強のための新・接合位置を天井側へ移動しました。↓


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柱梁接合:欠損部分
撮影20160528
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現状より30cm上で接合
 撮影20160703
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新・柱梁接合部
撮影20160718
 ・・・亭主曰く、和室(廊下)まわりの全ての土塗り壁や鴨居、長押を撤去しましたが、大広間をふたつに分ける間口二間の飾り長押だけは、古民家らしさを残し、いじりませんでした。ここだけ飾り長押の上に、梁が廻っています。①②↓

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間口二間の下り壁解体
飾り長押のみ残す
撮影20160612
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梁位置:飾り長押30cm上
①撮影20160703
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長押の上に新・接合部
②撮影20160718

3)母屋リビングルーム:梁のCLT補強
  (画像クリック:拡大します)
 広いスペースのリビングを考えて、廊下と座敷の境にある柱を3本撤去することにしました。柱の撤去で不足する梁の断面を補強するために、2×4材を利用したCLTで梁を作りました。2×4 2×8 2×10 2×12などの組合せで仕上げています。↓


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①梁通し位置
撮影20160529
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②柱に梁(横架材2×10)
通す 撮影20160529
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③梁CLT補強:接着貼
撮影20160529
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④柱に横架材用欠き込み
加工 撮影20160530
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⑤梁CLT:接着貼合せ
撮影20160530
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⑥梁CLT:接着貼合せ
撮影20160530
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⑦梁CLT:接着三層仕上
撮影20160530
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⑧梁CLT:接着三層仕上
撮影20160530
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⑨梁CLT:接着三層仕上
接着剤による貼り合せ

4)母屋リビングルーム:柱梁の新・接合部(剛接合)(画像クリック:拡大します)
 亭主曰く、「柱と梁は 穴を開けて載せてあるだけです。横力には頑張れません。建物のコーナーは壁をとっぱらって全開口にしていますので、その建物の耐力を保つために、2×4を接着剤で固めたCLT補強の4方向ラーメン構造を、ちょっと考案して作りました。地震時に柱と梁の接合部(剛接合)が ボッキと折れるようなら 設計意図通りの壊れ方だと考えています。」
    母屋リビングルーム:4方向ラーメン剛接合 撮影2019-06-12↓


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①剛接合デザイン
撮影2016-06-28
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②南西角の新・接合部
撮影2016-06-30
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③南西角の接合部 裏側
撮影2016-06-30
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④南西角の接合部 正面
撮影20160704
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⑤母屋:コーナー耐力補強
撮影20160706
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⑥母屋:コーナー耐力補強
撮影20160706
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①剛接合:CLT補強
撮影20160712
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②新・接合部CLT補強
撮影20160712
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③リビング側に新・接合部
CLT補強 撮影20160712

5)母屋リビング・リスニングルーム:音響スピーカー工事
 2013年11月、千葉ラボ亭主が初めて古民家に踏み入り、二間続きの大広間(和室)を見渡した時、この広さなら劇場版オーディトリアムがやれるとワクワクしたそうです。・・・

 亭主曰く、本来なら、【ウーハー(低音)】と【スコーカー(中音)】、それに【ツイーター(高音)】の3ウェイ方式が大型音響システムの定番ですが、加齢によって高音が聴こえなくなります。若い人には高音域の不足感がでるかも知れませんが、千葉ラボでは【ウーハー】と【スコーカー】の2ウェイ方式でリスニングルームを組立てています。
     リビングコーナー側:音響セット撮影2019-01-17↓


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天井側:ウーハー(低音)スピーカー 工事
 低音域の響きには少々うるさい千葉ラボ亭主。その低音用のウーハースピーカーを頭の上の天井に埋め込んで、リビング空間に響き渡らせようと考えました。・・・そのために、ウーハースピーカーを取付けた1間×3尺(3×6合板)の【どでかい音響Box】を作り、天井内・屋根裏の2ヶ所に運び込みました。ひとり親方(亭主)にとって、大掛かりで難儀な工事です。「このサイズのBoxを2つ作るのに、だいぶ時間がかかりました(大汗)。」という亭主。


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天井:ウーハー低音スピーカー
撮影20190117

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屋根裏:ウーハー低音スピーカー配置完了
撮影20160802
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①スピーカーBoxづくり
撮影20160721
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②ウーハー低音スピーカー面
撮影20160721
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③スピーカーBox仮組立
撮影20160724
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④屋根裏へスピーカー持込
撮影20160729
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⑤屋根裏:スピーカー置場所
撮影20160726
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⑥屋根裏へスピーカー持込
撮影20160729
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⑦スピーカーBox組立て前
撮影20160729
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⑧スピーカーBox組立
撮影20160729
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⑨スピーカー斜め設置
撮影20160803

◆リビングルーム側:ホーン型(中音)スコカー スピーカー 工事
 亭主曰く・・・映画館とか劇場で大きな音を出すために使われる、中音用のホーン型スコーカーを天井からぶら下げました。音の広がりを考えると横型に置くのが常識ですが、部屋の幅もそれほど広くないので、常識やぶりで縦に吊り下げてみました。


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ホーン型スコカースピーカー正面縦吊り
撮影20190107

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ホーン型スコカースピーカー側面縦吊り
撮影20190107
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鋳鉄製ホーン型スコカー
撮影20160711
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鋳鉄製ホーン型スコカー
撮影20160711
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音響スピーカー配線
撮影20160723
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スコカースピーカー木枠
撮影20160715
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スピーカー斜め吊りテスト
撮影20160715
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柱梁接合部にセット正面
撮影20160905

編集室より)
建物の南西の角を全開口した後の耐力壁量について、千葉ラボ亭主は、母屋の2ヶ所にあった既存の戸袋を取り除いて、新たに、地震時の動きに耐えるためのCLT耐力壁を作っています。今回、紙面の都合でご紹介できておりませんが、【母屋リビングルーム・リフォーム その2】で、床暖、ウッドデッキ、廊下補強工事とともに、ご紹介させていただきます。・・・それでは、2020年2月号でお目にかかります。

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