仕事の効率化を図るとき、何もしていない時間を無駄ととらえて、それを無くすことを目標にすることがあります。生産管理ではこの何もしていない時間をアイドルタイムと呼びます。

戦後から高度経済成長の期間を経て、日本は世界の工場と呼ばれる時代がありました。電化製品や自動車やオートバイなど、高価な工業製品を作りまくっていた時代です。そんな時代に生まれたのが日本流の工場生産の改善運動で、生産効率の高度な戦いがありました。

アイドルタイムを極限まで削られた工場の生産ラインは、工場の端から端まで一切の無駄がなく動きます。トヨタ自動車の工場などに行くと分かりますが、生産ラインのコンベアが時々止まります。アイドルタイムが削られていますから、どこかの工程で作業がわずかに遅れると、ライン全体が止まるのです。

日本人は、このアイドルタイムのない世界に慣れきっていると感じます。電車は時間同りに来るのが当たり前、アマゾンは翌日届くのが当たり前。だから、先日のニュースのように、新入生の学生服が入学式に間に合わないなど、考えられない事態というわけです。大パニックですね。

昨今は、何でもかんでもきっちり行うことができない世の中になっています。国をまたいだ取引が挟まれば、疫病も戦争もあるこの世界では遅れるのが当たりまえです。少し時間のクッションを多めに取って、ビジネスも生活もやっていくのが正解かもしれません。