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EX専門店だからこそメリットが大きい情報革命(前編)
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選ばれるために、まず語りかけましょう。インターネット上の「辻」に立つことがスタートです。・・・月刊エクステリア・ワーク10月号に掲載された「IT関連インタビュー」に、オーセブン社長 七海 崇 が答えました。


■■インターネットやCADの発展で、今業界でも「IT化」の重要性が強調される時代です。ここ最近の流れをどうみていますか。・・・

七海 崇(以下、七海)・・・ITがどうして重要なのでしょうか。それを本当に理解するには、なぜ情報革命が起きたのかに触れなければなりません。・・・
産業が発展を遂げた20世紀は、物流革命の時代でした。ライン化した工場で大量生産されたモノを効率よく配送し届け、高品質・低コストを目指すという、トヨタ生産方式がその極め付きでした。実際トヨタではアメリカのスーパーを見学して 自動車の生産ラインを作ったのは有名な話です。イオンやイトーヨーカドーなど、この物流革命によって誕生した流通企業は、物流過程で均質なものを大量に扱うことが出来ることがテーマでした。こうした物流革命は、売価(製品原価)のうちの固定費、つまり製造部門の原価削減を実現したのです。
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しかし、こうした物流革命でも下がらない経費が、営業・事務部門の経費だったのです。情報革命は、実はこうした物流革命では下がらなかった販売費・一般管理費を削減しようというものなのです。そして情報革命は、生産手段を持っていない小さい集団、つまり自分で一般事務と営業をやっている会社でこそ、取り組むことによって効果が大きいということが分かってきました。これがIT化の流れを作ったと言えます。このことを理解すれば、IT化の流れの本質を理解できると思います。
■■なるほど、情報革命は小さな企業のためのものなのですね。・・・

七海・・・例えば、大手住宅メーカーの原価構成の55%がモノの生産に関わる原価、そして45%が販売費・一般管理費です。物流革命による削減対象がモノに関わる55%である一方、物流革命で削減できなかった部分が残りの45%、つまり販売費・一般管理費の削減が情報革命なのです。つまり、この45%の経費は、「どこにお客さんがいるか分からない」という理由で掛かる経費なのです。
具体的には、住宅展示場がそうですね。お客さんが見えないから、とりあえず人口の多い場所に展示場を作り、客を集める仕組みです。展示場を作ることは建物・設備・人件費などが必要な固定費ですから、これはかなり莫大です。安く見積もっても1棟の展示場建設に1億円は掛かる。それを3年に1回ぐらいは建て直しなどリニューアル費も掛かります。
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そんな固定費の掛かる展示場をやめて、インターネットを使ったらどうなるでしょうか。全国・全世界から広くあまねくホームページを見てもらった結果、お客さんからメールでも頂ければ、「顧客を探し当てる」コストである販売費・一般管理費を減らすことができるのです。
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■■エクステリア専門店としては、どういう手順で情報革命をやっていけばよいのですか?

七海 ・・・情報革命を行うには、まず「コンピュータ・リテラシー」(インターネット・パソコンを理解し使いこなす能力)を持つ人材を会社の中で揃えることが一番重要です。さらに個々の人が高い技術を勝手に使うのではなく、社員全体でシステムを標準化することが必要です。例えば当社の会議では、社内LANを構築し、エクセルで議事録をとるというルールを作っています。会議に先立って、各自は前もって内容をエクセルでまとめておき、会議している最中にその場で修正する。すると簡易議事録が出来上がって行きます。一つのソフトを共通化しています。
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次の段階として本店・支店間を繋ぐイントラネットの構築です。社員全員で営業報告を見ることができるようになり、出退勤(出欠勤)や作業状況が把握できるようになっています。また、クレーム情報などを全員で共有化しています。イントラネットが広がると、次は一般のお客様と会社とが、サーバーを介して繋いでいけます。

つまりLANでパソコン同士を連絡するのが第一段階。次はパソコンとサーバーを繋ぐことが第二段階。すべてのパソコンがLANで繋がり さらにインターネットに繋がっているのが第三段階です。そのサーバーを利用してホームページが作れれば、一般のお客さんとの窓口ができます。会社のレベルをこうした段階まで持って行くことがIT化であり情報革命ということになります。
■■インターネットホームページを皆さんは持っていますが、エクステリア専門店の多くはまだ有効に使っていないように思えるのですが、アドバイスしてください。

七海 ・・・そもそも営業の第一線で苦労してきた方ほど、「ホームページごときで受注が取れるか」と思っているはずです。しかし、今のインターネットは、10〜50代の8割がインターネットを使っています。当社の場合は、かつてNTT分割民営化が決まった時点で、これは大きな成長ができると確信してこのIT化に取り組んだ訳ですが、ここ5年間ではITに関する政府の後押しもあり、利用率は急速に増加して世界最高レベルに達しています。

今はモノづくり社会から情報化社会へと変わっています。その意味は、良いか悪いか選ぶのは買い手であり、我々は評価をしてもらう立場なのだということです。選ばれるためには、「私」(社長のキャラクター)を露出させて、提案して説明して、「語りかける」ことが一番のポイントなのです。その結果、お客さんは気に食わなければ見に来ないし、まったく反応がなく徒労に終わるかもしれない。しかし、まずはインターネット上の辻に立つことが重要なのです。
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専門店の方々は、庭や外構は元請から仕事をもらっているので、ホームページなんかで語りかける必要はない、と思っている方が多いのではないでしょうか。ところが、それは間違いなのです。ハウスメーカーが「この会社にエクステリアをやってもらいますから」と施主に言った途端に、施主は必ずインターネットホームページを検索します。その時にホームページがなかったら、「いまどきホームページもない会社なのか」と思われガッカリします。元請の方も、専門店に対しては「お客様の信頼を得られるよう、しっかりホームページを創って欲しい」と思っています。そして、しっかりと自分の個性を出し、こだわりを語り、自分たちの作った施工事例・実績を掲載しておくべきだと思っています。

また元請・下請の関係で言うと、下請けが元請を超えて直接仕事をとるという姿勢を見せること自体、元請から嫌われて、ひょっとしたら切られるかもしれない、と不安を抱くのが常識的です。しかし今や絶対にそんなことはありません。その理由は、元請は外注先として専門店に仕事を与える時に、新しい改正建築基準法によって「契約時点の重要説明事項」として、下請けの名前をしっかり出して説明しなければならない、と決まっているのです。その時に元請は、しっかりした工事店だと理解されないと 元請そのものの信頼が揺らいでしまうからです。
■■こうしたIT活用は、例えば現場などとの連絡などにも役立つのでしょうか。・・・

七海 ・・・製造部門での革命は物流革命であり、一般事務部門・営業部門の革命は情報革命だったということを申し上げました。ところが製造部門でも、実は情報革命ができるのです。あるいは施工現場でもっとコンピュータを利用することが可能です。

例えばマクドナルドなど食の世界ではすでに導入されていますが、目の前にある原材料の情報を知りたい時、その製品にインターネットのバーコードが付いたらどうでしょうか。それを読み取るとインターネットで詳細情報が全部出てきます。この仕組みと同様に、たとえば庭の設計図をクリックすると、全部そこから使用されている部材や施工情報などが出てきたら、とても便利です。さらにそれを3次元のCADでやるともっと効果的です。施工現場での履歴を部品情報から工程ごとに蓄積して行き、何時でも誰でもインターネットから詳細情報を引っ張り出せるという仕組み、実はそれを「ビルディング・インフォメーション・モデリング(=BIM)」というのです。
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特に建築現場が現在、BIMを取り込もうとしています。具体的には現在、住宅建築分野で「家歴書」を作るという動きです。中古住宅の流通を促進するために、その家で使われた建材や施工情報などを保管するのです。例えば庭のリフォームの際には、「この樹木はあまり大きくしたくないので、根域を限定した装置を入れてあります」といったコメントが書かれている履歴があれば、この樹木はどうして伸びないのかという理由が分かります。つまり、どういう設計意図があったのかが後からでも分かるのです。
これからはビジネスをするにはお客さんが欲しい情報を的確に出すことが重要です。お客さんの頭にあるのは、たとえばどこかの街中で見た門、カーポートなどの潜在的な商品情報です。その情報をインターネット上で構築してあげると、とても分かりやすい。そして、その商品をクリックすると、情報から色々な情報に繋がって理解を深めていけるようになります。潜在的に思っていることを呼び起こすということが、BIMの考え方なのです。

その考えで開発したのが、実は当社が今春から発表している「ガルテン・ブログ」なのです。

■■ありがとうございます。次回はその「ガルテン・ブログ」についてお聞きしたいと思います。(月刊エクステリア・ワーク次号に続く)
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写真は、七海が、2008年6月にイギリスで撮ったものです。

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