オーセブンCADコンテスト2023
学校部門受賞作品
現代に溶け込む和風庭園
奈良県立磯城野高等学校
大西 俊哉 様
作品コンセプト
古き良き日本庭園を現代的な建築物に調和させる
感想と創意工夫点
灰色の壁によって圧迫感が出ないように樹木は3m以下のものを選びました。流れる砂を砂利で表現し、床の模様やテラス部分のデザインとも調和させました。
蹲まで飛石で渡れるようにしています。
現代風でありながら、伝統的な和風庭園のデザインを活かせるように工夫しました。
オーセブンからのコメント
和風庭園を組み込んだ、住宅の外構造園プラン。全体的な構成として、伝統的な和風庭園で用いる要素を取り入れながら、大胆かつ滑らかな曲線が美しいアプローチなど組み込み、現代的なデザイン落とし込んでいます。また全体的なトーンも上品で落ち着いたシックモダンなイメージにセンス良くまとめてあります。
ファサードでは、明るい木調のアーチやスクリーンが、モノトーンの構造物や植栽の中でのフォーカルポイントとなっていて、前後にずらして配置することで、空間に奥行きが出来ています。スクリーンの程良い抜け感は、アーチを別世界へ誘う入口と機能しています。
一方庭園では、自然本来の樹形の美しさを持つ山採りの雑木と、トレンドの植物であるコルジリネなどバランス良く配置されており、植栽知識の豊かさを感じさせます。半円のテラスと枯山水の砂紋との組合せもとても面白いですね。
プレゼンのレイアウトも、平面図とパース図の配置等、バランス良くまとまっています。
以上、トータルでの完成度の高さを評価して、今回最優秀賞に選ばせて頂きました。
なお、動画付きプレゼンは、今回学生部門では初めての応募となります。
未来を見据えた先生からのご指導のほどが伺え、素晴らしく思います。
審査員からのアドバイス
敷地全体を見た時にエリア内全てを意匠や構造物などの要素で覆いつくさず、広い舗装面を出すなど、少し抜け感を持たせるとメリハリが出てくるのでオススメです。
それから、個人のお宅の駐車場計画では、来客用のスペースも考慮してみましょう。
階段も、段差が低すぎたり、各段を均等な高さで割ってないと、蹴躓く原因となって、却って危険な場合があります。意匠的な表現力はとても優れていますので、こうした機能面での配慮が出来る様になると、プランが更に素晴らしくなると思います。
指導者のコメント
今年度、最優秀賞を受賞できたことを学校全体で喜んでいます。本校では、3年生で履修する学校設定科目「CADデザイン」の授業でケンブリッジを利用しています。
最優秀賞を受賞した大西君は住宅の設計に関する進学を希望し、授業や実習に熱心に取り組んできました。剪定や作庭などの実習に加えて、「トレース技能検定」や「色彩検定」などの資格試験を自主的に挑戦し、合格しました。また、部活動でも美術部と造園研究同好会を兼部し、意欲的に設計やデザインに必要な技能や知識の向上を行っています。
今回の作品でも細部まで作り込んだ美しい庭であると同時に、機能的なデザインとなっており、彼の造園施工の技能と知識が作品制作にも活かせていると思います。主に現代的な庭園の建材で構成しつつ、全体的には和風庭園の雰囲気を出しているところは、彼の伝統的な和風庭園への理解の深さを示していると思います。4月からは専門学校に進学しますが、彼が更に知識と技術を習得し、社会に出たときに素晴らしい建築や庭園をデザインしてくれることを願っています。
環境デザイン科としても今後もより良い理想的な生活環境のあり方を深く考察し、主体的に作品制作に取り組んでいけるように指導を続けていきたいと思います。
受賞者のコメント
今回入賞することができ、感謝の気持ちで満ち溢れています。
令和4年の4月から「CADデザイン」の授業が始まり、最初は何から手をつけたらいいか全くわからず、自分の思うような作品を作ることはできませんでした。しかし、授業で触れていく中で知識が身についていき、興味が湧いてきました。自分自身の発想、アイデアをさらに幅広い分野に活かしていきたいと考え、このコンテストに挑戦することにしました。
奈良県立磯城野高等学校環境デザイン科は、主に造園施工の技術を学ぶ造園緑化コースと、主に造園デザインの技術を学ぶ緑化デザインコースに別れており、私は造園緑化コースに所属しています。庭のデザインやCAD設計などの実習を主に行う緑化デザインコースより、「CADデザイン」の授業時間が少ないので、放課後の時間なども使って作品制作を行いました。また、実習で行った樹木の剪定、石積みや作庭の経験をもとに実際に人々が住む環境にはどういうものが適しているかを考えました。時間はかかりましたが、伝統的な和風庭園の良さを活かしつつ、現代的で暮らしやすい庭が設計できたと思います。
私は住宅の設計、デザインに関する専門学校に進学する予定です。今回の受賞の喜びを糧にして、進学してもしっかり勉強を頑張り、将来は人々の生活と環境が寄り添った住まいを提供する仕事がしたいと考えています。
奈良県立磯城野高等学校 環境デザイン科
大西俊哉 様